過去の韓国の大多数の企業は創業者の強力なリーダーシップと決断力に依存して動いていた。李秉喆会長が率いたサムスンと鄭周永会長が率いた現代が代表例だ。しかしグローバル市場で最高の座を巡って争う今、これらの企業は総帥1人が経営を担うには難しいほど規模が大きくなった。総帥の最も近い位置で各分野を管理し、未来のための最終意思決定で核心的役割を果たす、いわゆる「キーマン(keyman)」の役割が重要になった。韓国経済を率いる主要企業のキーマンを紹介し、彼らに与えられた役割と課題が何かを点検する。[編集者注]

張在勲現代自動車グループ副会長は5日(現地時間)に米国ラスベガスで開かれた世界最大の情報技術(IT)展示会「CES 2026」メディアデーを終えた後の懇談会でこう述べた。現代自動車グループは今回のCESで「人工知能(AI)ロボティクス」を重点の新規事業として紹介し、前面に押し出した。またエヌビディアとの戦略的協業などを通じて自動運転技術を迅速に確保する計画も明らかにした。

現代自動車グループを代表して未来事業の青写真を提示し、詳細戦略を紹介した人物は張副会長だった。鄭義宣(チョン・ウィソン)会長が李在明大統領の訪中経済使節団に合流して席を外した間、張副会長はCESの実質的主役として総帥の席を隙なく埋めた。

チャン・ジェフン現代自動車グループ副会長が5日(現地時間)、米ラスベガスで開かれた「CES 2026」のメディアイベント直後に行われた懇談会で記者の質問に答えている。左からイ・ギュソク現代モービス代表取締役(社長)、チョン・ジュンチョル現代自動車・起亜製造部門長(社長)、ホセ・ムニョス現代自動車代表取締役(社長)、チャン・ジェフン現代自動車グループ副会長、ロバート・プレイターBoston Dynamics CEO、キャロリナ・パラダGoogle DeepMindシニアディレクター(ロボティクス統括)、キム・フンス現代自動車・起亜GSO本部長。/現代自動車グループ提供

この日の懇談会で張副会長の左右にはホセ・ムニョス現代自動車代表、李圭錫現代モービス代表、鄭埈哲現代自動車・起亜製造部門長らが座った。また現代自動車グループのロボティクス子会社であるボストン・ダイナミクスのロバート・プレイト最高経営責任者(CEO)らも同席した。グループ主要系列会社の首脳部の真ん中で対外行事を主導した張副会長の姿は、現代自動車グループ内での張副会長の位相を示す場面だった。

張在勲副会長は財界で「現代自動車グループ内のナンバー2」という評価を受ける。現代自動車グループで唯一の副会長として鄭義宣(チョン・ウィソン)会長に次ぐ位置にあるだけでなく、長い期間苦楽を共にしてきたからだ。公開採用出身の「正統派ヒュンダイマン」ではないが、鄭会長が2020年10月に会長に就任して現代自動車をトヨタ、フォルクスワーゲンと並ぶ世界3大完成車グループに育てる過程で大きな役割を担った。

◇ グループ実務から未来事業の設計図まで総括

現代自動車グループは先月18日に断行した社長団・役員人事を通じて張副会長を「現代自動車グループ担当副会長」に任命した。これまで完成車担当副会長として現代自動車・起亜の全体事業と投資、戦略などを率いてきた張副会長が、自動運転・ソフトウェア中心車両(SDV)・ロボティクスなどグループの未来新事業まで総括することになった。

張副会長は先立って2024年11月に副会長に昇進した。2020年から始まった鄭義宣(チョン・ウィソン)会長体制で初めて任命された副会長だ。

鄭夢九名誉会長は企画と研究開発(R&D)、労務などの分野で複数の副会長を置いていた。しかし鄭義宣(チョン・ウィソン)会長は2018年に首席副会長になると、当時の副会長たちを全員退任させた後、しばらく副会長を置かなかった。

鄭義宣(チョン・ウィソン)現代自動車グループ会長(右)が6日(現地時間)、米ラスベガス・コンベンションセンター(LVCC)でチャン・ジェフン副会長と移動しながら言葉を交わしている。/News1

張副会長は昇進以降、様々な行事に現代自動車グループの代表として出席し、存在感を示している。鄭会長が李在鎔(イ·ジェヨン)サムスン電子会長、崔泰源(チェ・テウォン)SK会長など主要グループ総帥らと共に主に国家や財界レベルの行事に臨み、張副会長は事業や社会貢献などに関連する側に出席する方式で役割を分担した。

現代自動車グループが推進している主要事業も大部分を張副会長が主導している。代表的な分野が水素事業だ。張副会長は鄭会長就任以降、現代自動車グループが大規模投資を行っている水素分野を総括指揮している。昨年は水素経済関連のグローバルCEO協議体である水素委員会の共同議長も務めた。

◇ 鄭義宣(チョン・ウィソン)会長と大学の同窓…「メンター」の役割

張副会長は2011年に現代グロービスのグローバル事業室長常務に任命され、現代自動車グループに合流した。翌年に現代自動車の常務へと席を移した後、顧客チャネルサービス事業部長、人事(HR)事業部長、経営支援本部長、国内事業本部長など複数分野の要職を経て2021年に現代自動車代表取締役に昇進した。

張副会長が現代自動車グループに入ってからわずか14年でナンバー2として実権を握ることができたのは、張副会長が鄭義宣(チョン・ウィソン)会長と個人的胸襟まで打ち明けられる最側近だったため可能だったという分析が多い。

年齢は張副会長が1964年生まれで、1970年生まれの鄭会長より6歳年上だ。両者はともに景福小出身で、張副会長はソウル高、鄭会長は徽文高をそれぞれ卒業した。大学も同じ高麗大を出た。

個人事業をしていた張副会長を現代自動車グループに導いたのも鄭会長だ。鄭会長は起亜社長として働いた後、2009年8月に現代自動車の企画・営業担当副会長へと席を移した。当時、現代自動車グループを率いていく設計図を描くために招聘した人物が張副会長だ。

◇ グローバル企業を渡り歩き国際感覚を磨く…現代自動車の文化を変えた

「出勤するときにジャージ(運動服)や短パンを着てもいいですか?」

「もちろんだ。着てほしい。T.P.O(Time, Place, Occasion・時間、場所、状況)に応じて判断し選べばよい。」

2019年3月4日にソウル良才洞の現代自動車グループ本社ロビーで開かれたタウンホールミーティングで、張副会長はある社員の質問にこう答えた。この日、現代自動車は1967年の創業後初めて役職員の自律服装制度を導入した。当時、経営支援本部長だった張副会長はミーティングを進行し、服装規定を変えた趣旨と詳細運用案などについて説明した。

現代自動車が新制度を適用しながら責任者が役職員と公開の場を持って疎通したのは、当時が初めてだったという。その後、鄭義宣(チョン・ウィソン)会長も役職員と直接会って対話する場を頻繁に設け、タウンホールミーティングは現代自動車グループの代表的な企業文化として定着した。

張副会長が主導した革新は服装の変化だけではなかった。職級を廃止し、役員以下の全社員を責任マネジャーとマネジャーに区分する人事革新を断行した。人事体系も従来の年功序列中心から効率的な成果中心へと改めた。また公開採用中心の文化を変えるために、複数分野で中途人材の積極採用も開始した。

チャン・ジェフン副会長(左から2人目)は、鄭義宣(チョン・ウィソン)会長(左から3人目)が役職員と面会するたびに同席し、グループの組織文化の変革を陣頭指揮している。写真は昨年12月、鄭義宣(チョン・ウィソン)現代自動車グループ会長が「現代自動車グループ・シンガポール・グローバル・イノベーションセンター(HMGICS)」で役職員約300人を対象に2時間行ったタウンホールミーティングの様子。/現代自動車提供

現代自動車グループは故・鄭周永会長時代から垂直的なヒエラルキーが強い組織として知られた。上から指示が下りれば下が一糸乱れず動いて実行する「上命下服」と強い推進力が現代自動車の特徴だった。ここに張副会長が主導した革新がかみ合い、現代自動車は組織全体が変化に最も速く能動的に反応し、創意性と効率性を重視する企業へと脱皮した。

現代自動車グループが完成車・部品製造など本業以外に、近年ロボットや水素、都市航空モビリティなど多様な新事業の推進速度を高めているのは、張副会長主導で進めた企業文化の変化が下地になっているという評価が多い。

張副会長が先頭に立って長年続いた現代自動車の企業文化を変えることができたのは、グローバル舞台で多様な経験を経た後に合流したためだという分析が出ている。

張副会長は高麗大社会学科を卒業し、米国ボストン大で経営学修士(MBA)を取得後、複数のグローバル企業で働き、2011年に現代グロービス常務としてスカウトされた。エンジニアではなくマーケティングと企画の専門家として現代自動車の経営全般を総括する任務を担い、韓・米・日の主要企業をすべて経験した特異な経歴を備えた。

財界関係者は「張副会長が現代自動車の公開採用出身として上がった人物だったなら、古い企業文化を変えようという試みすらしなかっただろう」と語った。

◇「現代自動車もラグジュアリーブランドをやれる」…「挑戦DNA」を移植

張副会長は2020年8月にジェネシス事業本部長に任命された。当時、現代自動車の経営支援本部長と国内事業本部長を兼職していた。会社の内政と国内販売を担う状況で、現代自動車グループの高級ブランドであるジェネシスの成長という特命まで受けたわけだ。

ジェネシス事業の指揮棒を取って以降、張副会長は一貫して役職員に「我々もグローバル市場で通用するラグジュアリーブランドを十分に作れる」と強調したという。戦略に沿ってジェネシスはブランド価値から再定義した。高年齢層の高い役職者が乗る車というイメージを脱し、若い資産家が選ぶ新しいブランドの高級車という認識を強調した。

張副会長はグローバル市場でジェネシスブランドの地歩を広げることにも力を注いだ。米国市場にスポーツユーティリティ車(SUV)モデルのGV80とGV70を相次いで投入して販売を急速に伸ばし、欧州や中国などにも相次いで進出した。

チャン・ジェフン現代自動車副会長が2024年3月25日(現地時間)、米ニューヨーク・マンハッタンの「Genesis House New York」でジェネシスの超大型電動SUV「ネオルン」コンセプトを説明している。/現代自動車提供

2019年のジェネシスのグローバル販売は7万7135台だったが、張副会長がジェネシス事業総括に乗り出した2020年には2倍近い13万2450台へと急増した。2021年には20万台、2022年には22万台を突破した。張副会長の公言どおり、国内だけで通用する高級車という限界を脱し、グローバル市場に定着することに成功した。

張副会長が現代自動車に移植した「挑戦DNA」のもう一つの事例として日本市場の開拓を挙げる意見も多い。2009年に販売不振の末に日本から撤退した現代自動車は、2022年にアイオニック5とネッソなどの環境車を先頭に再挑戦に乗り出した。日本市場への再進出は、日産や野村など日本企業で長く働いた経験を持つ張副会長が陣頭指揮した。

もっとも日本で現代自動車は、いまだ目立つ成果は出せていない。昨年の現代自動車日本法人の販売は1169台だった。前年(619台)と比べて2倍近く増えたが、再進出から3年余りが経った点を勘案すると期待値を満たしたと評価するのは難しい水準だ。このため業界では、日本で現代自動車のブランドイメージを強化し、電気自動車に対する消費者満足度を改善して、より速く成果を引き上げるべきだとの意見が出ている。

◇ 米関税の克服・中国の攻勢・自動運転・ロボット…「今からが真の試練台」

グループ内外では、今からが張副会長が能力を証明しなければならない真の試験舞台になるという意見も出ている。米国の高関税など内外の不確実性が大きくなり経営環境が悪化しているだけに、グループ担当副会長という重責を担う張副会長の肩も重くならざるを得ないということだ。

現代自動車は今年4月から米国ドナルド・トランプ政権から25%の関税を適用された。先月、韓国と米国が通商協定を妥結し関税率は日本と同じ15%に下がったが、自由貿易協定(FTA)で輸出関税が課されなかった過去と比べると、米国市場での収益性は大きく低下した。

現代自動車が韓米FTAの恩恵を受けている間、日本車には2.5%の関税が課されていた。今後はトヨタ、ホンダなど日本の競合と同条件で競争しなければならないだけに、張副会長は新たな生産・販売戦略を策定すべき状況だ。

最近強まっている中国自動車メーカーの攻勢も、張副会長が先頭に立って解決すべき課題に挙げられる。中国企業は低価格と高い電気自動車技術力を武器に、欧州と東南アジアなどでシェアを伸ばしている。

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)によれば、インドネシア・タイ・マレーシア・ベトナム・シンガポール・フィリピンの東南ア6カ国で、2023年から今年上半期までに韓国車のシェアは5%から4%に下落した一方、中国車は3%から9%に上昇した。

欧州でも中国車のシェアは5%を超えた。とりわけBYDなど中国の電気自動車メーカーがトルコ(トゥルキエ)とハンガリー、スペインなどに建設している完成車工場が来年から稼働を始めれば、中国車のシェアはさらに速く上昇する見通しだ。

このほか、水素とロボット、日本市場の開拓など複数の新事業で収益を創出し成果を出すことも張副会長の役割だ。特に最近テスラなどの競合に比べて一歩遅れているとの評価を受ける自動運転の技術水準を、可能な限り速やかに引き上げることが喫緊の課題とされる。

※ 本記事はAIで翻訳されています。ご意見はこちらのフォームから送信してください。