高麗亜鉛は、米国製錬所建設プロジェクトを巡る経営権紛争の当事者である永豊・MBKパートナーズ(永豊側)が提起した「核心技術流出の可能性」を一蹴した。米製錬所を今後運営・管理する会社について高麗亜鉛が統制権を持つという立場だ。そのため韓国政府に対し、アンチモン、ビスマス、インジウムなど、亜鉛・鉛・銅の統合工程から出る希少金属の濃縮・回収技術を国家核心技術に指定するよう要請した。
高麗亜鉛関係者は29日「現在推進中の米国製錬所事業の主体『CrucibleMetals, LLC(クルーシブルメタルズ)』は、高麗亜鉛が直接設立し、運営・管理する会社だ」と述べた。
高麗亜鉛は、産業通商資源部に国家核心技術を申請した背景について「国家核心技術保有企業として、当社の技術を安全に管理し、高麗亜鉛ならではの独自の競争力を維持するための措置だ」とした。
高麗亜鉛は、米国政府および現地投資家と共に総額10兆9,500億ウォンを投資し、テネシー州クラークスビルに製錬所を建設する方針を15日に発表した。
高麗亜鉛が今回申請した技術は、亜鉛と鉛、銅の統合製錬工程で発生した副産物を単純処理(廃棄)せず、循環・濃縮して回収する生産技術である。この過程で、希少金属かつ重要鉱物であるビスマスやインジウム、アンチモン、テルルなどの希少金属が得られる。
高麗亜鉛が希少金属回収技術を国家核心技術に指定してほしいと要請したのは今回が4回目だ。特に2024年11月には「隔膜電解技術を活用したアンチモンメタル製造技術」の国家核心技術指定を申請したが、最終候補群に入れなかった。アンチモンは弾薬や防衛用電子装備、防護合金など、多様な軍需・防衛産業分野で不可欠な素材である。米国は「Energy Act of 2020(エネルギー法2020)」と「Strategic and Critical Materials Stock Piling Act(国家防衛備蓄法)」でアンチモンを戦略鉱物に指定している。
高麗亜鉛は、アンチモン製造技術が国家核心技術の候補群に入らなかった背景について「敵対的買収・合併(M&A)を試みてきた一部の反対意見が積極的に提起され、国家核心技術の指定が流れた」と述べた。高麗亜鉛によれば、経営権を巡り紛争中の永豊は今年2月、約100ページ規模の反対意見書を国家核心技術審査委員会に提出したという。永豊側は資料提出に続き、直接出席しての説明やブリーフィングまで要請したと説明した。
高麗亜鉛関係者は「永豊側は高麗亜鉛の国家核心技術指定を妨害しておきながら、米国政府との戦略的パートナーシップを基盤に推進する米製錬所建設プロジェクトについては『核心技術流出の危険』を掲げて反対するという矛盾した主張をしている」と述べた。
高麗亜鉛は、1996年に豪州に設立した製錬所法人「SMC(サンメタル・コーポレーション)」の事例を挙げ、独自技術を完全に守ってきたと強調した。
高麗亜鉛関係者は「50年以上蓄積した世界最高水準の製錬技術が第三の企業など外部に流出しないよう、国家核心技術の申請および指定手続きを継続的に進める」とし、「国家経済と安保に直結する技術を韓国政府とともに保護し、韓国固有の技術として維持するための取り組みの一環だ」と述べた。
続けて「第三の企業による技術奪取の動きなどに対応するため、政府とともに国家核心技術の保護に最善を尽くす」と付け加えた。