韓国政府が追加指定しようとする有害化学物質の一覧に、船舶建造に使う材料が含まれることが分かり、造船業界が対応策の模索に苦慮している。
10日、造船業界によると、8月に改正された「化学物質の登録および評価等に関する法律(化評法)」施行令に基づき新たに指定される50余種の有毒化学物質に、亜鉛パウダーやメチルエチルケトキシムなど造船工程で使用される物質が含まれた。施行令の効力は2026年1月1日からだが、通常は1〜4年の猶予期間を設ける。
既に指定されたものまで含めると、造船会社が船舶建造に用いる材料のうち有害物質に指定されたものは計10余種に上る。船体下部に貝や海洋生物が付着しないようにする防汚(Anti-fouling)塗料の原料であるピリチオン、酸化銅、クメンなどが代表的である。
業界は有害物質の追加指定に伴う影響を最小化するため、対応を協議している。韓国政府は特別な目的や必要な理由がある場合、特化告示によって例外的に規制を緩和する。これを受け、業界は有害物質に含まれる材料が特化告示の対象に含まれるようにする方策を進めていると伝わる。
ある造船会社の関係者は「塗装など工程で使う材料における有害物質の含有量を大幅に下げる形で対応する案なども併せて検討している」と述べた。
2022年に韓国政府が有害物質に指定し、2027年から使用が規制される予定だった酸化銅は、気候エネルギー環境部と化学物質安全院の特化告示リストに含まれた。酸化銅は抗ウイルス性を持ち、抗菌・殺菌目的で産業界で一般的に多用される物質である。
業界関係者は「過去にはTBTという化合物を主に使用していたが、毒性が強く2000年代初めから多くの造船会社が酸化銅に代替した」と述べた。関係者はまた「酸化銅は世界共通で使用する物質であり、韓国内でも使用が制限されてはならないというのが業界の立場だった」とし、「新たな物質も特化告示に含められるよう努めている」と付け加えた.
パク・ヒョン釜山大学造船海洋工学科教授は「鋼板の性能が海水中でも維持されなければならない以上、造船業は表面処理や塗料などの工程で化学物質を多く使わざるを得ない業種だ」と述べ、「環境と健康は重要だが、同時に産業現場での必要性も必ず考慮すべきだ」と強調した。