ソウル創造経済革新センター(ソウル創経)が中小企業技術革新開発事業とオープンイノベーション(開放型イノベーション)を連携し、需要基盤のR&D・事業化モデルを本格的に構築している。
就任から1年半を迎えたイ・ヨングンソウル創経代表(写真)は10日、ChosunBizとの書面インタビューで「漠然とした技術開発ではなく、実際の市場とつながるR&Dでなければならない」とし、「大企業の需要に基づくR&Dは中小企業技術革新開発事業の実効性を最大化する中核構造だ」と述べた.
同代表は、現在の韓国のR&Dエコシステムにおける最大の問題を、技術開発と市場の間の断絶だと診断した。イ代表は「有望な技術を持ちながら市場を見つけられないスタートアップが多い」とし、「逆に市場機会はあるが技術力が不足している場合もある。両者をつなぐ構造が必要だった」と語った。
中小企業技術革新開発事業は中小ベンチャー企業部の事業であり、中小企業技術情報振興院が専担し、ソウル創経が大企業の需要課題の発掘を進めている。
ソウル創経は大企業・中堅企業が提示する問題基盤の需要をまず把握し、その課題を解決する技術と能力を持つスタートアップ・中小企業をつなぐ。その後、当該企業が中小企業技術革新開発事業を通じてR&D資金を確保できるよう支援する方式だ。
イ代表は「大企業の明確な需要が設定されればR&Dの方向性がぶれない」とし、「この構造は中小企業技術革新開発事業が志向する『目的あるR&D』と一致する」と強調した。
◇ 山林・海洋・バイオなど分野を拡張… PoC・市場検証までを一体化
ソウル創経は今年、国内で初めて山林分野のオープンイノベーションを推進した。LGエレクトロニクス・現代建設・ユハンキンバリーが山林・環境分野の課題を提示し、スタートアップが参加してPoC(技術検証)を進めている。
イ代表は「誰が問題を定義するかがイノベーションの速度を決める」とし、「大企業が課題を提示しスタートアップが技術を開発する構造は、R&D後の市場検証まで自然に接続される」と説明した。
ソウル創経は既存のバイオ・海洋・宇宙航空分野に続きディープテック領域まで拡張し、全国の創造経済革新センターと協力して共同プラットフォームを運営中である。
イ代表は「技術覇権競争の時代にディープテックを単独で育成することは不可能だ」とし、「全国のセンターが連合すべきであり、中小ベンチャー企業部のR&D事業とも構造的に連結されるべきだ」と述べた。
R&Dと投資の間の断絶を解消するため、ソウル創経は投資運営室を新設し、公的機関として初めてSAFE(条件付き持分引受)投資を導入した。イ代表は「初期企業は不確実性が高く民間からの投資誘致が難しい」とし、「この区間を公共が引き受けてこそエコシステムが自生力を持つ」と強調した。
センターは直接投資・個人投資組合の組成に加え、セカンダリープラットフォーム『エスラウンジ』を運営し、スタートアップのエグジット可能性を高めている。セカンダリーがスタートアップエコシステムの流動性を回復させる装置である以上、流動性が確保されればR&Dから事業化までつながる企業数が増えるとの判断からだ。
◇『R&D–PoC–商用化–投資まで』全サイクルのプラットフォーム構築
ソウル創経は今後、中小企業技術革新開発事業がPoC、商用化、投資へと自然につながる構造を完成させることに注力する計画だ。
「R&Dを行った後、次の段階に進めない企業があまりに多い。私たちは技術開発の直後にPoCへ直結し、その結果を土台に販路と投資までつながる好循環を作っている。」
このため、新たに発足したスタートアップワンストップ支援センターをオンライン・オフラインの統合窓口として構築し、法務・税務・特許・規制解消までをワンストップで解決できる体制を整えている。技術開発と事業化の間にあるあらゆる非効率を削減するという説明だ。
ソウル創経は米国・欧州・MENA(中東・アフリカ)・日本などを中心に海外PoCモデルも推進中だ。
イ代表は「R&Dの成果が韓国市場だけにとどまらないよう、グローバルな検証までつなげる必要がある」とし、「海外企業が韓国で協業を試みるよう、インバウンドの枠組みも強化している」と述べた。
イ代表は今後、全国の革新センターの連合体制を強化し、ディープテック・大企業・政府R&D・投資までを一つにつなぐ韓国型の産業技術イノベーションモデルの構築を目標としている。
イ代表は「スタートアップが技術を生み、大企業が課題を提示すれば政府のR&Dが支援し、VCがフォローオン投資を提供する一連の流れを一層強固にしなければならない」とし、「ソウル創経がその役割に継続的に最善を尽くす」と強調した。