大韓航空が定年延長と賃金ピーク制の改善策を協議するための労使協議体を発足させた。大韓航空は2016年に定年を60歳に義務化する法律が施行されるなかで賃金ピーク制を導入したが、一部社員の強い反発があり、これまで労使対立が続いてきた。
10日に航空業界関係者によると、大韓航空は最近、定年延長と賃金ピーク制の改善協議体を構成し、この日までに2回の会議を開いた。
現行の大韓航空の賃金ピーク制は、57歳から賃金を削減し、定年の60歳では従来賃金の65.61%のみを受け取る仕組みである。年齢別賃金は▲57歳90%▲58歳81%▲59歳72.9%▲60歳65.61%だ。
この方針は労使交渉・協約を経て導入されたが、社員の反発が続いてきた。大韓航空の社員32人は、法的に定年が延長された状況にもかかわらず、会社が年齢を理由に差別的な賃金減額を断行し実質賃金を削減したとして、損害賠償請求訴訟を提起した。
訴訟を起こした社員は賃金ピーク制により1人当たり最大7000万ウォンの損害が発生したと主張したが、裁判所はこの主張を認めず、9月に最高裁も棄却判決を下した。裁判所は、定年が延長され総賃金が増加したため、社員が損害を被ったとはいえないとしてこのように判断した。
航空業界では、裁判所が会社側の主張を支持したものの、既存制度への反発が続き、政界でも定年延長が議論されている点を踏まえ、大韓航空が協議体を設けて先手の対話に踏み出したと受け止めている。
大韓航空は勤続年数に応じて賃金を支給する年功給の制度を採用しているため、満65歳への定年延長となれば人件費負担が増大せざるを得ない。このため、現行の賃金ピーク制を変更される制度に合わせて調整する必要がある状況だ。
大韓航空との統合を控えるアシアナ航空も、協議体の議論結果により影響を受ける見通しだ。アシアナ航空は2015年に国内航空会社の中で最も早く賃金ピーク制を導入し、57歳から毎年10%ずつ賃金を削減して60歳には60%の賃金を受け取る仕組みにしている。