「単純な開発を越え、韓国のパルプモールド（金型）技術を一段押し上げる重要な契機である。」
シン・ドンジュンMoorim P&Pパルプ製品開発チーム課長は、ソウル創造経済革新センターの中小企業技術革新開発事業に参加した所感をこのように述べた。
シン課長はパルプが生み出す新たな産業機会に着目し、この分野に飛び込んだ。Moorim P&Pは韓国で唯一、パルプ・製紙の一貫化工程を備えた新素材企業である。パルプは木材から繊維成分のみを抽出して作る紙の基本原料で、Moorim P&Pは蓄積したパルプ技術力を基に天然パルプモールドなどを生産する。
シン課長は「パルプを基盤にした新たな製品と事業を発掘する仕事は依然として機会が多い領域だ」とし、「特にパルプモールドは精密製造技術に対する需要が高まっており、これを解決する基盤技術の確保が不可欠だ」と語った。
現在Moorim P&Pは中小企業技術革新開発事業を通じ、3Dプリンティング製造企業ケイラブス、金型分野の自動化ソリューション開発スタートアップのクラフソリューション、韓国機械研究院などと協力し、パルプモールド製造工程の精度を引き上げるため力を結集している。
パルプモールドは水に混ぜたパルプを三次元金型に入れ、圧着・乾燥して作る製品である。過去は卵パックのような単純な水準だったが、最近は食器類、化粧品・電子製品の包装など高付加価値領域まで拡張しており、精密技術が必要だ。
シン課長は「今回の課題は従来の政府課題の方式とは違った」と切り出した。続けて「需要企業が必要な技術を提案すると、その技術を実装できる企業が自然に集まる構造だった」と述べた。
さらに「ソウル創造経済革新センターの広報で本事業を知り、スタートアップのインフラと中小企業技術情報振興院の中小企業インフラによって需要技術を実装できるチームが組成された」とし、「当社が単独では試みが難しい技術を専門企業と共に開発している」と説明した。
通常は定められた目標を達成するためにチームが組まれるが、今回はMoorim P&Pが必要とした技術のため、専門性を持つ中小企業とスタートアップが集まったということだ。
シン課長は「パルプモールド産業は急速に成長しているが、精密製造技術と工程制御技術に限界があった」とし、「このような問題を解決する方法を見いださなければならなかった」と言及した。
Moorim P&Pはスタートアップなどと協力し、既存のアルミ金型の限界を補完できる3Dプリンティングベースの『ハイブリッド金型』を開発している。製品の縁を一定に切断したり、カップの蓋のように締結構造を作るなど機能を強化するため、『後工程金型技術』も高度化中である。加えて、金型にセンサーを装着して温度・圧力・乾燥時間を製品別に制御する『センサー信号ベース金型動作技術』の開発も推進している。
シン課長は「3Dプリンティングベースの金型技術、精密金型設計、設備技術力など異なる強みを持つ三つの機関が集まっており、技術対応が可能だ」と説明した。続けて「今年6月から2027年6月まで協業を進める」とし、「精密金型と工程制御技術を専門企業の力量と共に開発できるようになった点は大きな成果だ」と強調した。
Moorim P&P内部でも関心が高い。新技術を単独で開発する場合、人員とコストの負担が小さくないが、今回の中小企業技術革新開発事業で費用を抑えつつ専門業者と協業できるようになり、技術実装への期待感が高まっている。
シン課長は「環境規制が強化されるグローバル市場でMoorim P&Pの競争力を高め、スタートアップと共に成長する好例となる」とし、「今後もパルプ素材ベースの環境配慮型産業を先導するため、着実に革新を続けていく」と強調した。