武器を自社で保有できるようになった韓国の防衛産業各社が、輸出用武器体系の開発に拍車をかけている。ハンファエアロスペース(ハンファエアロ)は研究開発(R&D)目的で生産した歩兵戦闘装甲車(IFV)を、現代ロテムはK2戦車を活用して改造・開発と性能試験に乗り出した。防衛産業各社はこれまで武器を保有できなかった。7月からは広報・研究開発(R&D)目的で武器を自社保有できるようになった。
8日、防衛産業業界によると、ハンファエアロは11月から自社のIFV「レッドバック」を製作し研究・開発している。レッドバックは、ハンファエアロが豪州向け輸出のためにK21歩兵戦闘車両を基に開発したIFVである。
IFVは導入国ごとに地形特性が異なるため、相手国の要求性能(ROC)にも差がある。別の部品を追加したり新技術を開発する必要がある分野もある。今回生産したレッドバックで各国のROCを満たす技術を確保する計画だ。
ハンファエアロがレッドバックを自社保有できるようになったのは、7月4日に通過した防衛事業法改正案のおかげである。これまで防衛産業各社は納入日程に合わせて武器体系を生産しなければならず、研究・開発などの目的でも武器を保有することができなかった。
このため、防衛産業各社が海外の防衛産業展示会に参加するには、軍当局から貸与料を払って借りるか、整備代替用装備または模型を展示しなければならなかった。代替用装備とは、整備が必要な装備が入庫した場合、整備期間中に代わりに使用できるよう提供する予備装備を指す。
各社が保有する装備がなく、輸出に支障が生じた事例もあった。2024年5月、イラクは韓国と中距離地対空誘導弾「天弓Ⅱ」8個高射群の導入交渉を進めるなか、まず3個高射群を迅速に送ることが可能かを打診した。
しかし当時は軍の天弓Ⅱの戦力化が進行中で、1個高射群も送ることができなかった。防衛産業業界の関係者は「当時は研究目的で確保した物量でもよいから送ってほしいという要請があったが、応じられず交渉も遅れた」と述べ、「今後は各社の保有装備が生まれるため、輸出に効果的だろう」と語った。
レッドバックのほか、K9A1自走砲とK9A2自走砲も生産したハンファエアロは、人の助けなしに装填・発射する砲塔の完全自動化技術を開発している。K9A2自走砲の性能改良版であるK9A3から無人運用を目標としている。ハンファエアロは車輪型自走砲K9A2を前面に掲げ、米陸軍の自走砲導入事業に参加している。今回生産したK9A2自走砲は、技術開発と米国の事業などに活用される見通しだ。
現代ロテムも研究開発目的のK2戦車を生産する計画だ。現在は国防技術振興研究所などから借り受けた戦車で輸出用バージョンを開発しているが、借用戦車と実製品の間には差が生じざるを得なかった。一定部分の貸与料もかかる。現代ロテムの関係者は「輸出国に適した性能を提案するため、改造・開発を行う目的でK2戦車を生産する」と述べた。
韓国航空宇宙産業(KAI)はこれまで試作機(性能試験のために製作した航空機)を海外展示会や研究・開発に活用してきた。KAIは研究・開発用のヘリコプターや戦闘機を新たに生産するよりも、無人機を研究・開発用として製作し活用する方針だ。
戦闘機などはすでに政府所有の試作機を活用しており、保有の必要性は小さいが、無人機は事情が異なる。武装を搭載した無人機の開発と試験飛行が可能になり、海外の展示会にも持ち込めるようになったためだ。
KAIの関係者は「自社保有することになった装備を基に、次世代防衛物資の開発にスピードを上げる予定だ」と述べた。