HD現代サムホは造船所現場の生産性向上と安全強化のため、スタートアップとのオープンイノベーションを強化している。外部技術を単に検討する水準を越え、実際の造船所作業環境に適用可能な技術を発掘し、試験し、商用化につなげるための体制を構築している。とりわけHD現代グループのAI転換（AX）と連携し、グループレベルの現場技術革新を主導している。
パク・グァンニョルHD現代サムホ戦略企画チーム責任は4日にChosunBizとのインタビューで「スタートアップ・中小企業はもちろん、研究機関など外部技術パートナーとともに現場中心の技術商用化体制を構築している」と述べ、「造船業は複雑な工程と高い安全要求を持つ産業であるだけに、技術の『現場適合性』の有無を最優先で判断してスタートアップと技術協業をしている」と語った。
パク責任はHD現代サムホのオープンイノベーションを通じた新技術適用および検証（POC）の業務を担っている。HD現代サムホは2024年からソウル、ウルサン、全南など全国の創造経済革新センターとオープンイノベーションプログラムを運営中である。
スタートアップは成長のため、需要企業である大企業に技術および製品を供給しながら成長する。しかしポートフォリオがない初期スタートアップの場合、大企業とのネットワーキングは容易でない。
HD現代サムホはスタートアップにこうした成長の機会を提供する。もちろんHD現代サムホもスタートアップの技術を現場で検証・適用して生産性を高めるなど成果を上げることができる。
とりわけ造船業は工程が複雑で設備・人員への依存度が高い産業であり、従来のやり方だけでは製造革新が難しい。パク責任は「スタートアップは機敏性と創造的な技術アプローチに強みがあり、大企業造船所の現場課題を新しい方法で解決できる可能性を提供する」と語った。
HD現代サムホはスタートアップとのオープンイノベーションで、現場適合性とビジョン・持続性、安全などを重視する。パク責任は「造船所は極限環境で厳しいため、実際の現場の問題を解決できる技術かどうかが重要だ」とし、「短期的なPoCの成果だけでなく、協力スタートアップが長期的に成長できるか、そして当該技術が安全かどうかも考慮する」と述べた。
HD現代サムホはスタートアップの技術導入に向け、段階別の技術検証手続きを運用する。造船所現場作業者の需要把握、パイロット試作品テスト、製品高度化などのプロセスを経る。
HD現代サムホのオープンイノベーションプログラムは、すでに現場で実質的な成果を上げている。スタートアップ技術を造船所の実際の環境で試験し、商用化可能性を確認した事例が増えている。
最も注目される事例はAI基盤の鋼材品質自動検査技術である。造船所の後続工程で反復的に発生していた不良と手作業の補正問題を早期に遮断する効果を確認し、会社は現在、生産ラインへの適用を検討中である。
また、ライダー基盤のフォークリフト・作業者衝突防止管制システムは、フォークリフトの移動と作業者の動線をリアルタイムで分析し、危険状況を事前に感知する。造船所作業環境の特性を考慮すると、安全水準を大幅に高められる技術と評価されている。船舶内部作業時に漏出しうるアルゴンガスをリアルタイムで感知するセンサーシステムを試験適用し、密閉空間作業のリスクを下げるうえで有意な結果も得た。
パク責任は「スタートアップは大企業の現場で技術を検証し、成長の足場を築くことができ、当社は従来の方法では解決が難しかった問題に新たな視点でアプローチできる」とし、「互いの強みが明確で高いシナジー効果を生み出せる」と語った。
HD現代サムホは今後、ロボット、AI、安全、物流自動化などの分野で生産性向上に向けたオープンイノベーションを一段と強化する。環境配慮型の工程転換と炭素削減に向けたESG基盤技術の導入も重要な柱とし、造船所の持続可能性と競争力を高める方向でオープンイノベーション戦略を推進する計画である。