古紙は重量単位で取引されるため、水分が混ざると価格が大きく変わる。古紙内の水分含有量をめぐり原料業界と製紙業界の対立が繰り返されると、環境部は2021年に「水分測定器」の設置を義務化した。
しかし導入から4年が経過した現在、水分測定器は現場で事実上放置された状態だ。業界では設置義務化を主導した環境部が実効性の確保に乗り出すべきだという声が高まっている。
19日に製紙業界によると、今年10月時点で水分測定器の設置対象事業場27カ所のうち23カ所が設置を完了したが、このうち21カ所が装置を活用できていない。活用率が10%にも満たない計算だ。
水分測定器は古紙原料に水分と異物がどれほど含まれているかを測定する機器だ。圧縮された古紙に電磁波を照射して内部の水分量を測定する。2021年11月の環境部による水分測定器義務化措置以降、製紙業界は約150億ウォンを投じて全国に装置を整えた。
水分測定器が義務化された背景には原料業界と製紙業界の「価格対立」がある。
古紙は廃品回収業者→中間商→圧縮業者→製紙会社の順で流通する。廃品回収業者が古紙を集めて中間商に送ると、中間商が買い入れて圧縮業者に渡し、最終的に圧縮業者がキューブ形に加工して製紙会社に原料を販売する。
この過程で一部の圧縮業者が紙に水をかけて重量を増やす「加水」行為で不当利益を得ると、製紙会社は水分含有量が高い原料に低い単価を適用して対抗した。こうした対立が繰り返されるなか、双方は価格交渉に対する不信を深めた。
これを解決するために水分測定器が導入された。客観的な数値で公正な価格を算定する趣旨だった。当時は原料業界と製紙業界が水分測定器の必要性に共感したと伝えられている。
しかし水分測定器は技術的限界により設置後4年間、事実上放置状態にある。水分測定器は電磁波を用いて水分量を測定するが、古紙キューブの大きさや圧縮強度によって電波の透過率が変わり、測定値が一定しない問題が生じた。
製紙業界のある関係者は「測定値がまちまちで取引基準として使えない」とし、「使っていない水分測定器のせいで紙原料の運送過程だけが複雑になった」と訴えた。
業界は環境部が水分測定器の実効性を高めるべきだと主張する。原料業界の関係者は「水分測定の結果によって利害関係が即時に分かれるため、業界の自主合意だけでは基準を設けるのが難しい」と述べ、「環境部が国家技術標準院などと協業し、公式の測定基準を提示すべきだ」と主張した。
具体的な方法としては規格の標準化が議論されている。別の製紙業界関係者は「圧縮業者ごとに圧縮機のブランドが異なり、圧力まで完全に同一に合わせるのは難しい」としつつも、「最低限、政府が横幅や縦、高さの寸法だけでも合わせてくれれば水分測定器の実効性が高まるだろう」と述べた。
業界はまた、零細な廃品回収業者の管理強化も必要だと強調する。古紙に水を混ぜる加水行為は廃品回収業者の段階でも頻繁に発生し、この場合、圧縮業者は高い価格で原料を買い入れることになり、その負担が製紙会社に転嫁される悪循環が続くためだ。
気候エネルギー環境部の関係者は「古紙の水分量による価格変動は古紙全体の価格体系と連動した部分であり、政府が直接調整するのは難しい部分で、事業者間の相互協議によって適正価格を調整するのが望ましいようだ」としつつも、「業界と議論して改善すべき部分があるかどうかを検討する」と明らかにした。