28日(現地時間)、スペイン・バルセロナのインターナショナル・コンベンション・センター(CCIB)で開かれた「国際記録管理協議会(ICA)」総会の現場。
世界各国の国立公文書館と文化省関係者、記録の専門家など約2000人が集まった「世界記録オリンピック」である。今年のテーマは「過去を知り、未来を創造する」だった。
開会式でジョゼ・カーフスICA会長は「記録されない社会に正義と民主主義はない」と語った。スペイン・カタルーニャ州政府のジョルディ・マルティ文化省代表は「記憶の保存はすなわち社会の未来を決定する」と強調した。
参加者はAIなどの先端技術を活用した国家記録物や文化財を保存するデジタルアーカイブはもちろん、気候変動問題の解決に寄与できるグリーン・アーカイビングなど、世界の記録管理産業が進むべき方向を議論した。
◇「世界記録オリンピック」ICAバルセロナ…気候危機下で「グリーン・アーカイビング」が俎上に
今回総会のキーワードは「持続可能な記録保存」だった。
AI基盤のデジタルアーカイブ拡大でエネルギー使用量が急増し、「グリーン・アーカイビング」の重要性が浮上した。
フランスの記録管理企業インフォテル・ソフトウェアのモルガン・アティアス部門長は「記録のデジタル化がエネルギー消費を増やしている」と述べ、「資源節約型の保存体制が切実だ」と語った。
気候変動が記録遺産に及ぼす影響も議論された。ブラジル国立公文書館の関係者は「豪雨で記録物が損傷する事例が増えている」とし、「気候危機に対応した物理的保存技術が急務だ」と指摘した。
◇ICA参加で唯一の韓国勢「バイオミスト」…環境配慮型の記録物消毒技術を披露
ICA総会には韓国企業として唯一「バイオミストテクノロジー」が参加した。天然の消毒剤で国家記録物や文化財などを消毒する装置「バイオマスター」を披露した。この装置はハーブ精油から抽出した植物性薬剤を使用し、古文書はもとより皮革、鉄、木材などを素材とする国家文化遺産を消毒する。
当日、バイオミストのブースは人であふれた。この会社のチェ・ヨンシン代表の説明に、総会の会場にいたポーランド、ブラジル、オマーンなどの国立公文書館関係者は終始「グッド!グッド!」と声を上げた。
「従来の文化財消毒は人体に有害な化学物質を使用し、文化財管理者が防毒マスクを着用しなければならなかった。しかしバイオマスターは人体と環境に無害な天然消毒システムで、誰でも容易かつ手軽に使用できる。」
1995年にチェ・ヨンシン代表が設立したこの会社は、国内で初めて植物由来成分を用いた天然殺虫剤、天然抗菌剤事業を始めた。
その後2000年代初頭に韓国国家記録院の技術支援を受け、韓国機械研究院、忠南大学農業科学研究所とともに天然成分ベースの記録物消毒装置「バイオマスター」を開発した。
バイオマスターは、既存企業が使用していた発がん性化学物質のメチルブロマイド(MB)やエチレンオキサイド(EO)に代わる環境配慮型の消毒システムで、国際的に使用が禁止された有害物質を完全に排除した。また、精密な熱制御に基づく気化システムと減圧・常圧の制御技術を適用し、消毒成分が記録物の内部まで均一に浸透するよう設計した。
バイオミストは、平均20時間から最長3週間かかっていた従来の消毒工程を5時間に大幅短縮した「バイオマスターX」もこの日初めて公開した。
バイオミストは韓国内のみならず、日本、マレーシア、UAE、オマーン、リトアニアなどの国立公文書館や文化省などにバイオマスターを供給している。この日、ポーランドの現地企業とポーランドを含む東欧4カ国のエージェンシー契約も締結した。
チェ代表は「デジタルアーカイブと同様に原本記録物の価値と保存管理も重要になっている」とし、「バイオミストの環境配慮型消毒システムを武器に海外市場攻略に拍車をかけている」と語った。
今回のICA総会は、デジタル技術が記録産業の未来を切り開く一方で新たな課題を突きつけたとの評価である。
メルセ・クロサス・バルセロナ・スーパーコンピューティング・センターのデータサイエンティストは「AIが誤ったメタデータを生成するリスクもある」とし、「法的・倫理的基準を定め、段階的に適用すべきだ」と述べた.