この記事は2026年7月28日17時49分にChosunBiz MoneyMoveサイトに掲載された。
2次電池素材メーカー Enchem(348370)が転換社債(CB)の売却を進める中、売却の対価を現金ではなく未上場会社の株式で受け取ることにした。CB売却が昨年から約6か月にわたり遅延した末、結局泣く泣く他社の株式でも受け取る方を選んだのだ。
28日、金融監督院の電子開示システムによれば、Enchemは先月24日に第11・13回CBの売却を完了し、その対価として未上場のWizDome株式9万7767株を取得した。転換価を基準に算出した価値は約78億ウォン水準である。EnchemとWizDomeは株式関係が全くない別会社だ。
Enchemが今回売却したCBは2023年に発行した分である。11回目のCBは総額315億ウォン、13回目のCBは総500億ウォン規模で発行された。当時TRUSTON資産運用、차파트너스資産운용、アストラ資産運用などが引き受けていた。
その後Enchemは当該CBに対するコールオプションを行使して量を回収した。コールオプションの行使が可能な2024年から本格的に買い戻した。当時発行した量の大部分が現在普通株に転換されたか、Enchemによって取得された状態だ。
EnchemはCBの再買入後、一部の量をGMIベンチャー(旧Plutus Investment)のファンド『ゴールデンバリュー第5号新技術組合』に売却する計画だった。しかしEnchemが今回CB売却で確保した現金は売却代金78億ウォンのうち約4億ウォンにすぎない。昨年末に契約金名目で受け取った金額である。残額の大部分は現金ではなく未上場のWizDome株式で受領した。GMIベンチャーがEnchemに支払ったWizDome株式は合計9万7767株で、持分価値は1株当たり7万6172ウォンで算定された。残りの端株未満金額8万6898ウォンは現金で支払われた。
問題はEnchemがCB売却代金を現金ではなく未上場株式で受け取るほど財務状況が余裕がない点である。Enchemの今年第1四半期末時点の現金性資産は約73億ウォンにすぎなかった。第1四半期の営業赤字が242億ウォンに達している点を考慮すると、直ちに現金性資産の確保が必要な状況だ。
短期流動性に対する負担も大きくなっている。Enchemは流動負債(1年内に返済すべき債務)が流動資産(1年内に現金化できる資産)を上回り、流動比率が61.9%にとどまっている。流動比率は流動負債に対する流動資産の比率で、100%を基準に低いほど流動性負担が大きいことを示す。昨年の監査報告書では低い流動比率のため継続企業としての存続に関する不確実性の懸念が指摘されていた。
直ちに現金注入が必要だったEnchemがCBの売却対価を未上場株式で受け取ったことで、業界では釈然としない反応が出ている。EnchemはCB売却対価の支払い方法が変更されたのに伴いCB売却目的も「運転資金確保」から「資産ポートフォリオの調整と戦略的提携」へと修正したが、WizDomeの主力事業が企業の通勤バス運行である点を考慮すると期待できるシナジーも大きくない。そのため財務構造改善ではない別の計算が混じっているのではないかという疑念が提起されている。
業界の一部では、Enchemが未上場株式でも受け取りながらCBを第三者に譲渡したのは、最大株主だったオ・ジョンガン代表の友好的株主確保作業の一環だという解釈も出ている。
オ代表は今年初めにEnchemの監査報告書の発表が遅れ株価が下落した際、持ち株9.01%が反対売買にかけられたことがある。反対売買によりEnchemの最大株主の座はオ代表の個人会社であるWyattGroupに移った。オ代表とWyattGroupの合算持ち株比率は9.39%にすぎず、支配力の弱体化への懸念が高まっている。
一方、Enchemが今回受け取ったWizDomeの過去の経歴にも関心が集まる。WizDomeの名称は2019年に発生した『Limeファンド事件』で登場した。Lime事件の核心的な接点にあったDA TechnologyがWizDomeを買収した後、WizDomeの売却資金が再びDA Technologyに流入するなどWizDomeが資金循環に活用された状況が確認された。この過程でWizDomeは企業価値を約1200億ウォンと評価されたが、業績に比して過度に高い評価だという指摘もあった。
ただし現在のWizDomeの市場価値は3000億ウォン水準と伝えられる。EnchemとGMIベンチャー間の取引で認められた評価額より約18%高い水準である。
CB売却代金として現金ではなくWizDome持分を受け取った経緯を問うためEnchem側に複数回連絡したが連絡は取れなかった。GMIベンチャーの関係者は「特に答えられる内容はない」と述べた。