SKハイニックス(000660)が米国株式預託証券(ADR・American Depositary Receipt)発行で調達した265億ドル(約40兆ウォン)が15日から韓国に流入する予定であるなか、銀行界が資金運用策を巡り苦慮している。大規模なドルが一度に入るだけに、為替市場のみならず銀行界も神経を尖らせる雰囲気だ。
SKハイニックスはADR発行で調達したドルを国内の銀行口座に順次呼び込む予定だ。SKハイニックスは外国為替取引銀行の複数行に口座を分散開設する予定だと伝えられている。特定銀行への資金集中を防ぎ、今後の両替と資金執行を円滑にするための措置とみられる。
今回の資金流入規模は、新型コロナ当時の日米通貨スワップを通じて韓国に供給されたドル規模(約199億ドル)を上回る水準だ。当時は米連邦準備制度(Fed・FRB)との通貨スワップを通じて国内市場にドル流動性が供給されたが、今回のように民間企業の資金調達だけで265億ドルが流入する事例は極めて異例だとの評価が出ている。
大規模な外貨預金の流入は、銀行に為替取引の機会を提供する一方で運用負担ももたらす。銀行は顧客から調達したドル預金を企業への貸出や債券などへの投資で運用し、収益を上げる。しかし短期間に数十億ドル規模の外貨が一度に入れば、これをすべて消化するのは容易ではない。運用先を確保できない資金にも預金金利を支払わねばならないため、収益性が低下し得る。
銀行界関係者は「銀行は基本的に資金を調達し、これを運用して収益を上げる構造だ」と述べ、「あまりに大きな規模の資金が一度に流入すると、すべてを消化できず利息コストが発生し得るリスクがある」と語った。
資産と負債の満期を一致させる資産・負債管理(ALM)の負担も増す見通しだ。今回の資金は長期間銀行に滞留する性格ではない。SKハイニックスはADR発行で調達した約40兆ウォンを、ヨンイン半導体クラスターとチョンジュのアドバンストパッケージング工場建設、EUV(極端紫外線)露光装置など先端設備投資に順次投入する計画だ。銀行の立場では、いつ引き出されるか分からない巨額の外貨預金を長期で運用しにくい問題が生じる。
ドル預金が今後ウォンに両替される過程も、銀行界には別の負担だ。為替市場ではADR資金を1日約10億ドルずつに分けて両替する案が取り沙汰されている。市場では現在もSKハイニックスとサムスン電子(005930)が、1日約8億ドル規模のネゴ物量(ドルで受け取った輸出代金を市場で売ること)を出していると把握している。ここにADR資金まで順次両替されれば、これを受ける銀行の外貨資金運用負担はいっそう増す可能性がある。
別の銀行界関係者は「265億ドルを一度に両替するのは現実的に難しいため、複数の取引銀行を通じて分散して両替する方式が有力だ」と述べ、「資金の流入と執行が順次行われるだけに、銀行も外貨運用計画をこれに合わせて調整することになる」と語った。