この記事は2026年7月8日15時32分にChosunBiz MoneyMove(MM)サイトに掲載された。
航空機部品メーカーYULKOKの売却が土壇場の変数に足を取られた。5月末の本入札以降、1カ月以上にわたり優先交渉対象者の選定が遅れている背景には、ボーイングや韓国航空宇宙産業(KAI)、スピリット・エアロシステムズなど主要顧客との経営権変更(Change of Control・CoC)に関する協議があると伝わった。
8日、投資銀行(IB)業界によると、JKL PARTNERSとWJプライベートエクイティなど売却側は、YULKOKと取引する国内外の主要顧客と、経営権変更後のサプライチェーン安定性や生産体制の維持などを巡って協議中だという。航空機部品産業では、経営権変更の過程で顧客とのCoC協議が重要な手続きとされる。
YULKOKの売却は5月に実施された本入札に多数のプライベートエクイティ(PEF)運用会社が参加し、興行に成功した。市場では早ければ6月中に優先交渉対象者が選定されると予想したが、その後1カ月以上も目立った進展がなく、価格交渉や取引ストラクチャーなどが変数として取り沙汰されてきた。
しかし実際には、主要顧客とのCoC協議が想定より長引いていることが、優先交渉対象者選定の遅延の最大の背景だとされる。CoCは企業の経営権が変更される場合に、取引相手が新たな経営体制の安定性や契約履行能力などを確認する手続きである。航空宇宙産業は品質認証とサプライチェーンの安定性が重要なだけに、顧客は新たな筆頭株主の下でも生産能力や財務健全性、品質管理体制などが維持されるかを確認する手続きを踏むのが一般的だ。
とりわけYULKOKはグローバル航空機メーカーから新規の長期プロジェクト受注を推進中で、CoC協議が今回の売却の核心変数とみられる。今後のサプライチェーン安定性と生産体制維持に対する顧客の信頼を確保できなければ、プロジェクト受注自体が不確実になり得るためだ。該当プロジェクトは今後10年間で約1兆ウォン規模の売上が見込める案件で、YULKOKの8年分の売上高に匹敵する。
こうした中、YULKOKの主要取引先であるスピリット・エアロシステムズが同日、直接韓国を訪れ、YULKOK関係者と面会することが確認された。スピリット・エアロシステムズはグローバルな航空機構造物の専門企業で、昨年末にボーイングに買収された企業である。YULKOKは以前からスピリット・エアロシステムズと取引関係を継続し、グローバル航空機サプライチェーンに参画してきた。
スピリット・エアロシステムズの今回の訪問は、生産状況や納期スケジュールなどを確認する定例日程とされる。ただし業界では、YULKOK売却が進行中のタイミングでの訪韓であるだけに、経営権変更後のサプライチェーン安定性や今後の取引関係などについても意見交換する可能性があるとの観測が出ている。
業界関係者は「航空機部品企業は顧客の承認と信頼が事業の核心資産であるだけに、経営権が変わっても既存水準の品質と納期対応能力、生産体制が維持できるかを顧客が綿密に確認する」と述べ、「この過程が想定より長引き、優先交渉対象者の選定も予想より遅れたとみられる」と説明した。
市場では、主要顧客との協議がまとまり次第、優先交渉対象者の選定手続きもスピードを上げるとみている。