証券会社が顧客の債券型ラップ商品を運用する過程で企業手形(CP)と債券を時価より高く買い入れ、満期ミスマッチ運用で損失を発生させた場合、顧客に損害を賠償すべきだとする金融当局の初の紛争調整決定が出た。債券型ラップは、証券会社が顧客の資金を代わりに運用する1対1のカスタム運用商品である。
金融監督院は30日に金融紛争調整委員会を開き、債券型ラップ商品を運用する際に善良な管理者の注意義務(善管注意)と忠実義務に違反した証券会社に対し、顧客の損害額の60〜70%を賠償するよう決定したと明らかにした。資本市場法上、投資一任業者の善管注意・忠実義務違反を認めた初の紛争調整事例である。
今回の紛争は2022年にレゴランド事態で市中金利が急騰し、債券・CP価格が急落したことにより、債券型ラップ商品でも投資損失が発生したことから生じた。一部の証券会社は自主的に賠償したが、賠償額をめぐって民事訴訟や紛争調整の申請が続いた。
今回の調整は当時金融監督院に寄せられた紛争苦情2件を対象に実施した。A会社とB会社はC証券会社とそれぞれ800億ウォン(目標利回り各4.3%)、150億ウォン(目標利回り3.6%、3.8%)規模の投資一任契約を締結した。しかし証券会社の運用失敗で、両社はそれぞれ4億6000万ウォン、4億5000万ウォンの損失を被った。
紛争調整委は、C証券会社が顧客資産を運用するにあたり、CPと債券を市場価格より高い価格で買い付け、商品の満期と一致しない長期債・CPを組み入れる満期ミスマッチ戦略を用いたうえ、金利変動に対するリスク管理を疎かにして顧客に損失を与えたと判断した。さらに一部の高値買いは、他の顧客の目標利回りを合わせるための、いわゆる「第三者利益図り」目的だったとみた。
これにより紛争調整委は、申請人Aの案件は損害額の70%である12億6000万ウォン、申請人Bの案件は損害額の60%である3億9000万ウォンをそれぞれ賠償するよう決定した。
損害額は「目標利回りを正常に達成した場合に顧客が受け取れた金額」と実際に償還を受けた金額の差で算定した。金融監督院は、証券会社が過去に大半の債券型ラップを目標利回り水準で償還してきており、顧客もこれを信頼して商品に加入した以上、違法な運用によって目標利回りを達成できなかった責任は証券会社が負うべきだと説明した。
今回の決定は、最近、裁判所が債券型ラップ運用に関連して証券会社の損害賠償責任を認めた一審判決を参考に用意した。金融監督院は先に、債券型ラップ・信託の不健全運用に関連して9社の証券会社に機関警告・機関注意と、総額289億7000万ウォンの過料を科した経緯がある。
金融監督院は「今回の紛争調整委の決定は、資本市場法上の証券会社の善管注意・忠実義務違反の有無を判断した初の調整決定だ」とし、「顧客の財産を違法に運用した場合、行政上の制裁だけでなく民事上の責任も課され得ることを明確にした点に意義がある」と説明した。