最近、韓国の主要企業の取締役会議題で人工知能(AI・Artificial Intelligence)の比率が高まっている。サムスン電子、SKハイニックス、現代自動車をはじめとする主要企業は、生成型AI(既存データを活用して画像・コードなど新たなコンテンツを作るAI技術)への投資と組織転換を将来の成長戦略の中核に掲げている。AIはもはや技術部門のプロジェクトではなく、企業価値と競争力を左右する経営アジェンダになった。
最近の流れはさらに加速した。ジェンスン・フアンNVIDIA最高経営責任者(CEO)の訪韓以降、韓国の主要グループとグローバルAI企業の間で協力協議が浮上し、SKテレコムはNVIDIAと組み、AIファクトリーを基盤とする「フルスタックAIクラウド」事業に進出すると明らかにした。AIインフラ投資が本格化するなか、企業は投資スピードと成果の立証という二つの圧力を同時に受けることになった。投資熱気に比例して負担も大きくなっている。
AI投資の発表、データセンター構築、生成型AIサービスの投入が相次ぐほど市場の期待は高まる。だが実際の収益化の時期は依然として不確実だ。財界では「AIをやらないこともリスクだが、誤って投資することもリスクだ」という認識が広がっている。
◇ AI導入のスピードをめぐり割れるCEOと取締役会
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が発表した「AI엔 한목소리 내는 CEO·이사회, 실행 단계에선 온도차(CEOs and Boards Are Aligned on AI in Theory, but Divided in Practice)」報告書を見ると、この現実が示されている。CEOと取締役会はAIの重要性には同意しつつも、実行の方法とスピード、責任構造では相当な見解の相違を示した。
最大の差はAI導入のスピードで現れた。調査によると、CEOの約60%は取締役会がAI転換を過度に急いでいると感じる一方、取締役会は企業が十分なスピードを出せていないとみていた。
BCGはこれを「AIフォモ(FOMO・Fear of Missing Out・良い機会を逃すことへの不安)」現象と説明する。AIへの理解が不足するほど出遅れるかもしれないという不安感が強まり、より攻撃的な投資圧力につながり得るということだ。
AI理解度でも温度差が現れた。取締役会メンバーの75%は、自身のAI理解度が同僚取締役と同等かそれ以上だと評価した。だがCEOの40%は、取締役会がAIが実際にできる領域を過大評価しているか、AIが成長戦略に与える影響を十分に理解していないと答えた。
◇ AI戦略は経営陣の所管だが、実行の負担はCEOに
問題は責任構造だ。CEOと取締役会はともにAI戦略は経営陣が主導すべきだと答えたが、実際の実行過程ではCEOに負担が集中していた。
調査でCEOの47%は、自身がAI戦略の実行を直接主導していると回答した。一方、最高AI責任者(CAIO)がAI戦略を主導すべきだと答えた割合は10%にも満たなかった。
AIは組織構造と資本配分、人員運営、事業モデル転換を同時に揺さぶる経営課題だ。韓国企業でもAI組織を新設したり、CEO直属組織に再編する事例が増えているが、最終意思決定の負担は依然として最高経営者に集中する場合が多い。
AI投資の成果に対する認識の差も目立つ。CEOは自身の業績評価のうち平均35%がAI投資の成果と結びついていると認識した一方、取締役会はその比率を27%水準と評価した。CEOが感じるAI成果へのプレッシャーが、取締役会の認識よりはるかに大きいということだ。
最近、韓国企業もAI投資の発表やデータセンター構築、生成型AIサービスの投入後に市場の期待が高まる状況を経験している。だが実際の収益化の時期は依然として不確実だ。結局CEOの立場では、「AIをやらないリスク」と「成果なく過度に投資するリスク」を同時に管理しなければならない状況に置かれていることになる。
BCGは、AI転換のリスクが技術自体よりもCEOと取締役会の間の認識差で拡大し得ると指摘する。AI導入スピードと投資収益率(ROI・Return on Investment)への期待、責任構造に関する見解の差が大きくなるほど、AI戦略はイノベーションの原動力ではなく、組織内の対立要因となり得るということだ。
市場もすでにAI投資の規模より、誰が責任を負い、いつ成果を生み出せるのかを問うようになった。AI時代の競争力は、どの技術を導入したかよりも、その技術をどこに使い、どう収益に結びつけるかを決める構造で分かれる可能性が高い。CEOに必要なのはAIに関する宣言ではなく、投資と実行、成果を一体で管理する意思決定能力である。