歴代級の上昇相場でFOMO(Fear of Missing Out、取り残されることへの恐怖)心理が拡散し、正確な情報に基づく意思決定の重要性がこれまでになく高まっている。
Toss証券はこのような投資家の需要に合わせて人工知能(AI)基盤のサービスを強化している。複雑で膨大な投資情報を分かりやすく提供し、投資家が漠然とした不安ではなく情報と根拠に基づいて投資できるよう支援する趣旨だ.
Toss証券はとりわけ海外企業情報へのアクセス性を高めることに注力している。海外企業の決算発表と経営陣の今後の見通しが盛り込まれたアーニングコール(Earnings Call)は投資判断に重要な資料だが、英語で進行されるうえリアルタイムで情報を得にくく、個人投資家には参入障壁が高い。
こうした課題を解決するため、Toss証券は2025年5月に「海外企業アーニングコール同時通訳サービス」を導入した。アーニングコールの韓国語同時翻訳を提供し、終了後にはAIが要点を要約・分析して、投資家が主要内容を迅速に把握できるよう支援する。Toss証券は4万件以上のアーニングコールデータを学習・分析し、決算発表に特化した金融翻訳モデルを自社開発した。
利用の利便性も高めた。投資家はアーニングコールを聴取しながら同時にチャートや気配、投資家コミュニティを確認したり株式取引を行うことができる。関心銘柄と主要グローバル企業のアーニングコール日程を一目で確認できる「アーニングコールまとめ」機能も提供する。2月にはウェブ基盤の株式取引サービス(WTS)である「Toss証券PC」にも拡大適用した。
Toss証券によると、アーニングコール同時通訳サービスは今年1月の累計利用者数が150万人を突破した。現在までにカバーしたアーニングコール企業数は約2000件以上だ。
AIを活用した市場分析サービス「AIシグナル」も運営している。AIシグナルはニュースと公示データをリアルタイムで分析して市場変動の要因を把握し、投資家が保有または関心を持つ産業の価格変動の背景を要約して提供する。投資家は複雑なニュースと公示をいちいち確認しなくても市場の流れを把握できる。
Toss証券はニュース分類、金融特化翻訳、リーズニング(Reasoning)など自社開発のAI技術を適用した。ニュース分類モデルは市場に影響を及ぼす情報を選別し、金融特化翻訳モデルは海外情報を正確に伝える。リーズニング技術は多様な出所の情報を比較・検証し、株価変動の要因を論理的に推論する役割を担う。
投資家は市場の関心事をすぐに把握できる「リアルタイムイシュー」サービスも利用できる。AIがニュースと公示を分析し、現在の市場影響力が大きいイシュー20件を選定して示す。Toss証券は自社で構築したオントロジー(Ontology)技術を活用してイシュー間の関連性を分析し、特定のイシューが産業と企業に及ぼす影響を分析する。
Toss証券はAIサービスの高度化に向けて組織改編も断行した。専門化した「AIトライブ(AI Tribe)」体制へ移行し、プロダクト担当者とデータエンジニア、デザイナー、フロントエンドエンジニア、ドメイン専門家などが一つの組織で協業するようにした。これにより顧客体験全般を改善し、AIサービスの競争力を強化する計画だ。