当局が企業の重複上場を原則的に禁止したなか、例外基準を盛り込んだガイドラインの発表が先延ばしになり続け、企業の混乱が大きくなっている。子会社上場を準備していた企業は意思決定を止めて事業計画を再検討しており、上場遅延に伴うコスト負担も次第に膨らんでいる。
重複上場規制への期待で持株会社の株価は大きく上昇したが、新規株式公開(IPO)による資金調達の道が塞がれ、長期的には産業競争力の弱体化というブーメランとなって戻るとの懸念が少なくない。
ある企業関係者は「重複上場をすぐ少数株主の被害と同一視する雰囲気であるうえ、どのケースで例外が認められるのか具体的な方策が出ておらず、子会社IPOを準備していた企業の計画がオールストップの状態だ」と語った。
◇ 先延ばしとなる重複上場規制ガイドライン発表
当初今月初めに公開される予定だった重複上場規制ガイドラインは、発表時点を定められないまま漂流している。金融当局が専門家や業界関係者を対象に意見を聴取したものの、例外容認の範囲を巡る見解の相違が予想より大きかった。
核心争点は例外的容認の「基準」だ。企業ごとにガバナンスや資金需要の状況がまちまちのなかで一律的な規制を適用すれば、健全な企業の成長ドライブさえも削がれうるとの懸念が出ている。一方で、例外を幅広く認めれば「重複上場原則禁止」という政策の根幹が揺らぎかねないとの反論も少なくない。
業界では、ガイドラインの核心は親会社の少数株主の同意を包括的に確保し、十分な補償策を用意することになると見ている。重複上場規制の出発点は、支配株主が少数株主の同意なしに子会社を別途上場させて親会社の価値を下げ、この慣行が韓国株式市場の低評価も招いたという問題意識から出発したためだ。
例えばDuksan Hi Metalは先月の臨時株主総会で、子会社であるDuksan Nepes Coreの上場に対する一般株主多数の同意(出席株主の78%のうち92%が賛成)を得た。重複上場の論争に阻まれて頓挫しかけた子会社上場計画に青信号が灯った。Duksanグループの事例は、当局が重複上場禁止方針を明らかにした後に株主から子会社上場の同意を得た初のケースとなった.
ただし「十分な同意」がどの程度の水準なのかなど具体的な方策が定まっておらず、子会社上場を準備していた企業は当局の発表を待ちながら手をこまねいている状態だ。
◇ 上場準備企業「決まったことはない」不確実性が増幅
問題は、ガイドラインの発表が遅れれば遅れるほど、企業が負担すべき不確実性とコストが大きくなる点だ。子会社上場は既存投資家の資金回収(エグジット)だけでなく中核事業の資金調達と緊密に結びつくため、上場計画が不透明になることで事業に少なからぬ打撃を与えている。
代表的な事例がHD現代ロボティクスだ。HD現代ロボティクスの持分81.82%を保有するHD現代は「大規模投資が持続的に要求されるロボット事業を安定的に推進するためにIPOが必要だ」として上場を準備した。莫大な投資が必要な新事業進出の過程で、金融圏の借入や社債発行で対応するには企業の財務構造が過度に悪化するリスクが大きい。
しかし重複上場に対する規制により今年2月、上場のための実務作業を中断し日程を調整している。LS証券のチョン・ギョンヒ研究員は「HD現代ロボティクスが再びIPOを推進するなら既存のHD現代株主に対する補償策を用意すべきだ」と述べ、「上場で確保した資金の一部を持株会社の自社株買い・消却や特別配当に活用する、または既存株主に新株を優先配分するなどの方策が取り沙汰されている」と説明した。
これに関連してHD現代側は「HD現代ロボティクスのIPOに関して確定したことはない」とし、「親会社の株主価値保護を最優先に市場と積極的に疎通するという意思に変わりはない」と述べた。
◇ IPO萎縮で資金調達が滞る企業
子会社上場を撤回し、素早く「プランB」へと舵を切る企業も増えている。最初に動いたのはLSグループだ。LSグループはEssex Solutions(LSの曾孫会社)の上場計画を電撃的に撤回した。李在明大統領がLSグループの重複上場事例を「コリア・ディスカウント」の主犯として挙げ、直撃弾を放ったことが決定的だった。LS電線も当初上場を計画していたLSエコ先端素材の残余持分を全量買い取り、100%完全子会社として編入した。
この過程で企業が負担すべきコスト負担は大きくなっている。子会社上場による資金調達はおろか、当初上場を前提に誘致した金融投資家(FI)の投資金を親会社が直接償還しなければならない状況が続出しているためだ。
SK㈜も持分62.1%を保有するSKエコプラントの上場作業を中断した。代わりに2022年のプレIPOに参加したFIの投資金返還に乗り出している。SK㈜は今年4月、FIが保有する普通株1985億ウォン相当と転換優先株(CPS)1999億ウォン相当を買い取り、SKエコプラントも残余CPS約6500億ウォンを自社株の形で取得する予定だ。
証券業界関係者は「重複上場が禁止され、IPO市場自体が冷え込み、上場による資金調達の窓口が塞がれた結果、企業が将来事業に投資する十分な資金を用意できない状況になった」とし、「目先の株式市場には好材料だが、中長期的に企業の投資余力が縮小し事業競争力が悪化すれば既存株主の価値を下げる」と述べた。