世界最大のビットコイン保有企業ストラテジー(Strategy)が発行する永久優先株STRC(Strategy Bitcoin Yield Trust)の株価が上場来安値を記録した。市場では、ストラテジーがSTRC株主への配当原資を確保するために保有中のビットコインを売却し、その影響でビットコイン価格が下落しかねないとの懸念が出ている。
19日、ストラテジーが発行した変動金利永久優先株STRCは88.59ドルで取引を終えた。取引時間中には82ドルまで下落した。これは額面(100ドル)比で約11%低い水準で、昨年7月のナスダック上場以降の史上最安値である。
STRCは株価を100ドル水準に維持するよう設計されている。ストラテジーはSTRC株価が100ドルを上回る場合、市場で永久優先株の新規株式を売却して得た資金でビットコインを追加購入する「ATM(At-The-Market)」プログラムを運用してきた。
100ドルを下回る局面では、投資家に高い配当利回りを提示して買い需要を喚起し、株価を100ドル水準に近づけて維持する。配当利回りは毎月調整され、配当金は月2回支払われる。現在のSTRCの配当利回りは年12.98%で、配当原資はストラテジーが保有する現金から拠出される。
ストラテジーは配当原資を普通株(MSTR)を活用して調達してきた。普通株の新株を発行し、市場で売却して現金を確保する方式だ。ただしこの戦略は、ビットコイン価格が上昇しストラテジー株価にプレミアム(Premium・高評価)が形成された局面で可能となる構造である。プレミアムは、企業の株価が保有中の純資産価値を上回ることを意味する。
これを把握できる指標が純資産価値比の時価総額倍率(mNAV・multiple of Net Asset Value)である。mNAVは企業の時価総額を純資産価値で割った倍率だ。基準は「1.0」とする。ストラテジーは負債と優先株を除外したうえで、保有中のビットコイン(約84万枚)の時価を基に算出する。
mNAVが1.0であれば、ストラテジーの株価と1株当たりビットコイン価値が同一であることを意味する。mNAVが2.0なら、ストラテジーが保有するビットコイン1万ウォンの価値を取得するために普通株に2万ウォンを投じる計算になる。ストラテジーは永久優先株を通じてビットコインを追加取得し、1株当たりビットコイン価値を高め、プレミアムが形成された普通株の株価で配当原資を賄ってきた。
しかし、普通株の発行は既存株主の持ち分が希薄化する欠点がある。会社のビットコイン保有枚数は増えるが、利益を分け合う株式数も同時に増加するためだ。
一方、永久優先株を発行してビットコインを購入すれば株主価値は希薄化しない。永久優先株には議決権がなく、発行株式数に含まれないためである。永久優先株の年配当利回りが10%なら、10分の1の規模の普通株新株の発行で資金を確保できる。
ただしこの構図を維持するには、ビットコイン価格が継続的に右肩上がりである必要がある。年初から今月15日までにビットコイン価格は約30%下落した。ビットコインの連日の軟調により、現在ストラテジーのmNAVは0.88と割安圏にある。
ストラテジーはSTRCの配当原資を確保するため、保有するビットコイン価値より低い株式価値で資金を調達せざるを得ない状況にある。市場では、ストラテジーが再びビットコインを追加売却する可能性を懸念している。暗号資産取引企業QCPは最近のリポートで、ストラテジーが内部資金で配当金を支払える期間は約7カ月半だと分析した。
ストラテジーはこれまで「ビットコイン永久保有」の原則を掲げてきたが、配当原資の確保のため、5月26日から31日までにビットコイン32枚(約250万ドル)を1枚当たり7万ドル台で売却した経緯がある。売却規模はビットコイン保有量の0.0038%にとどまったが、ストラテジーが原則を破ったとの報で、その後ビットコイン価格は6万ドル台へ下落した。