米国とイランの終戦合意に伴う原油安で、市場が懸念していた6月の金融引き締め観測が大きく和らいだとの分析が出ている。同時に、人工知能(AI)インフラ競争を巡るビッグテック企業の大規模な資本調達も、現時点では懸念すべき水準ではないとの評価だ。
パク・サンヒョンiM証券研究員は「市場の緊張感を高めていた6月のFOMC会合は、米国とイランの終戦覚書(MOU)締結期待でやや勢いが削がれた状況だ」とし、「原油安でインフレ圧力が緩和され、米連邦準備制度(FRB)の追加引き締めの大義も弱まる」と分析した。
市場は今回のFOMC会合で政策金利据え置きを既定路線とみているが、ドットチャートと改定経済見通しにどの程度タカ派的な基調が反映されるかに注目している。パク研究員は、最近の消費者物価上昇率が4%を上回っているだけに、ドットチャートの上方修正は不可避と見通した。
ただしFRBのタカ派メッセージが市場に与える影響は限定的とみている。米国とイランの終戦合意が現実化すれば国際原油価格が一段と下落する可能性が高まり、それに伴い物価上昇圧力も鈍化し得るためだ。
同氏は「5〜6月に消費者物価上昇率がピークを通過した後、下半期には緩やかなディスインフレ局面が展開する可能性が高い」とし、「原油安はFRBの利上げの根拠を弱める要因だ」と説明した。
ただしケビン・ウォッシュFRB議長の記者会見は主要変数に挙げた。パク研究員は「今後の金融政策の方向性だけでなく、FRB内部の政策対立が表面化する可能性についても確認する必要がある」と述べた。
一方で、最近は主要ハイパースケーラーの積極的な資金調達の動きも市場の関心事として浮上している。アルファベットは社債発行などを通じて800億ドル規模の資金調達に動き、アマゾンも社債発行と大規模借入でAIインフラ投資の原資を確保している。
パク研究員は「最近の大規模資本調達はAIデータセンターと電力インフラ拡大のためだ」としつつも、「市場では過度な投資競争が収益性悪化とチキンゲームにつながり得るとの懸念が提起されている」と語った。
実際にアマゾンとアルファベットのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムが足元で反発する様子もみられる。ただし過去の高値水準を大きく上回ってはおらず、信用リスクが本格的に拡大する局面ではないとの評価だ。
パク研究員は「スペースXの上場に続き、アンソロピックやオープンAIなども大規模な資金調達に乗り出し、AI競争が一段と激化している」としつつも、「AI産業の成長速度とデータセンター需要の拡大を勘案すれば、現時点の投資が過剰水準だとみるのは難しい」と診断した。
特に同氏は信用市場が依然として安定的である点に注目した。パク研究員は「ドットコムバブルや世界金融危機当時とは異なり、現在のクレジットスプレッドは安定的な推移を維持している」とし、「企業倒産リスクが信用市場全体に拡散する兆しはまだ表れていない」と説明した。
続けて「原油安による物価安定と金利負担の緩和が相まって、いわゆる『3高(高油価・高物価・高金利)』現象が和らぐ可能性が高い」とし、「これはハイパースケーラーの資本調達負担を低減する要因として働く」と付け加えた。