ソウルの商業用不動産市場は金利環境の変化とベース効果の影響で調整局面に入るなか、オフィスや物流など優良資産を中心に選別的な取引が続き、1四半期を比較的安定的に終えた。ただし新規賃貸は全般的に慎重な流れを示し、市場内の温度差が鮮明になった。
29日CBREコリアが発表した「2026年1四半期ソウル商業用不動産市場レポート」によると、投資市場は調整の流れの中でも中核資産を軸とする選別的な取引が続いた。1四半期の投資規模は6兆2536ウォンで前年同期比17%減少したが、このうちオフィスが約66%を占め、市場をけん引した。
賃貸借市場では資産タイプごとに流れが分かれた。オフィス市場は新規供給がなかった1四半期の間、空室の解消が進み、需給の安定基調を維持した。ソウル主要ビジネスエリアのAグレードオフィス空室率は2.8%で前期比0.5ポイント低下し、純吸収面積も増加した。ただし新規賃貸借規模は減少した。これは2四半期の都心圏での大規模供給を控え、テナントの様子見姿勢が反映されたものと分析される。
エリア別ではヨイド圏域の空室率低下幅が最も大きく、カンナム圏域は低い空室率を維持した。一方、都心圏域は新規供給後の賃貸借契約の進捗が今後の市場方向を左右する変数とされる。賃料は緩やかな上昇基調を続けた。
リテール市場は回復の流れが続いた。外国人観光客の増加とウォン安に伴う消費余力の拡大が相まって中核商圏を中心に賃料上昇と空室率低下が同時に現れた。ソンス・カンナムなど主要商圏では賃料が二桁に迫る上昇となるなど上昇基調が続き、ミョンドンを含む主要地域でも空室が速やかに解消された。一部地域ではブランドが建物を直接買収して拠点を確保する動きもみられた。
物流市場は供給縮小に伴う再調整局面に入った。今年の首都圏物流センターの新規供給は過去10年で最低水準となる見通しだ。これによりテナント需要は優良資産に集中する様相だ。1四半期の新規賃貸の相当部分を3PLとEC企業が占め、主要流通企業の拠点拡大に支えられて常温物流の空室率は一桁に低下した。
投資市場では大型オフィス取引が続き、全体規模を下支えした。物流の投資規模は前期比で大きく減少したが、機関投資家を中心に中核資産の選別投資基調は維持された。ホテル資産も一部取引が続き、投資の流れを後押しした。
CBREコリアは資産特性と立地によって需要反応が明確に分かれていると診断した。オフィスは供給拡大を控えたテナント戦略の変化、リテールは消費回復、物流は供給縮小に伴う先取り競争がそれぞれ市場を動かす主要変数として作用したとの分析だ。今後の投資市場は金利の方向性と対外不確実性の影響を受けるが、進行中の取引を勘案すると、全体的な取引の流れは維持される見通しだ。