信栄証券リサーチセンターは毎年年末になると「反省文」に近いレポートを出す。短くは数年、長くは数十年にわたり汝矣島で株式市場を分析してきたアナリストが集まり、国内外の経済・産業イシューはもちろん政治的変数まで考慮して相場見通しを提示するが、毎年のように外れることが多いためである。
キム・ハッギュン信栄証券リサーチセンター長は30日、「2025年私のミス」というタイトルのレポートで「少なくとも昨年の今ごろ、KOSPIが4000台まで上昇するシナリオは想像もできなかった」とし、「株価が予想より大きく上がったという事実よりも、(歴史的に両立しなかった)『ウォン安』と『KOSPI上昇』という組み合わせが同時に発生したことが当惑させた」と述べた。
他の証券会社も事情は同じである。今年のKOSPI指数は4200線を突破し史上最高値を記録したが、昨年年末に相場見通しレポートを出した国内証券会社のうち、KOSPI指数が4000線を超えると予想したところは一つもなかった。
昨年末に国内証券会社が提示した2025年のKOSPI指数の騰落レンジは2250〜3200ポイントだった。昨年末、非常戒厳事態で韓国の政治的不確実性が拡大するなか、米国のドナルド・トランプ大統領が当選し、対外不安要因が大きい状況で証券会社には楽観論より悲観論が優勢だった。
当時、韓国の株式市場が絶対的な割安局面にあり再評価される可能性があるとの予測が慎重に出ることもあったが、少数論だった。内外の不確実性が高まり、韓国経済の成長が停滞し企業利益の増加傾向も鈍化する可能性が大きいというのが多数意見だった。
とりわけ証券会社は、KOSPI指数が回復してもその最高水準は3000ポイント程度と予想した。その中でSK証券と新韓投資証券リサーチセンターが示したKOSPI指数3100〜3200ポイントが強気相場シナリオだった。
ところがKOSPI指数が今年75%上昇する大記録を打ち立て、証券会社のリサーチセンターは気まずい状況になった。今年のKOSPI指数の上昇率は、低ドル・低油価・低金利の「3低景気」最盛期だった1987年(93%)とドットコムバブルが真っ盛りだった1999年(83%)に次ぐ歴代3番目の記録である。
年初には証券会社の見通しどおり市場環境は容易ではなかった。新たに就任したトランプ大統領が同盟国を相手にも高い関税戦争を仕掛けると、KOSPI指数は2280線まで後退した。足元の企業の収益性が悪化するとの懸念が高まり、外国人資金流入に直接影響を与えるウォン安圧力が加重した。
ところが李在明大統領当選以降、相場の雰囲気は一変した。「KOSPI5000」を公約に掲げた新政権が強度の高い株式市場のテコ入れ策を推進すると、KOSPI指数は3000線を回復し、そのまま4000ポイントに向けて疾走した。今年のKOSPI指数は4214.17で取引を終えた。
世界を揺さぶった人工知能(AI)ブームも韓国の株式市場に追い風となった。グローバル企業へと飛躍したサムスン電子とSKハイニックスに外国人資金が集中し、急増するAIデータセンターの電力需要が伸びるとの見通しから、暁星重工業・斗山エナビリティなど電力機器メーカーの株価が急騰した。ハンファエアロスペースなどの防衛関連企業や配当性向が高い銀行・証券セクターも大きく堅調だった。
証券会社は急角度で上がる指数に追いつくのにあえいだ。株価が急騰すると、昨年示した2025年KOSPI見通しを何度も修正した。年中、KOSPI指数と主要銘柄の目標値を修正するレポートが相次いだ。このため、一部では指数見通し無用論が提起されることもあった。
ある証券会社リサーチセンターの研究員は「われわれは数多くの変数を検討して見通しを提示するが、見通しを出す際には当時の市場ムードに影響を受けざるを得ない」とし、「具体的な数字よりも見通しの根拠と判断を精査することが投資に役立つ」と語った。