米国発の関税ショックと人工知能(AI)投資の過熱、G7の財政危機が重なる中で、来年はインフラや商業用不動産、プライベートクレジットなどのオルタナティブ資産分野で収益を上げられるとの見方が示された。
マッコリー資産運用は9日、来年のグローバル経済および投資見通しレポート「アウトルック2026」を発表した。レポートは、デジタル化・脱炭素化など4大メガトレンドが実物資産の収益を下支えすると分析した。資金調達とディール活動が堅調だったインフラは、EV/EBITDAマルチプル14倍水準で上場株式に比べて魅力的な参入点に到達したと展望した。
インフラセクターはAIの電力需要急増を受け「スーパーサイクル」入りを目前にしている。米国は2025年に64GWの新規発電設備を追加(太陽光の比率50%以上)、中国は上半期に290GWを増設し、世界の電力需要が3.7%拡大する見通しだ。データセンターの空室率は米国で1.6%と過去最低で、光ファイバーネットワークの倍増需要が急浮上しており、2026年に年率収益10%を達成すると見込まれる。
商業用不動産はバリュエーションのリセット後、供給不足により賃料上昇局面に入った。リビング、物流、データセンターが中核で、開発マージンの改善と金利の緩和が中長期のリスク調整後リターンを高める見通しだ。レポートは「供給制約の環境で供給できる投資家が強いリターンを確保する」と強調した。
プライベートクレジットはプライベートエクイティ(PEF)運用会社のM&A活性化と資産担保証券化金融(ABF)により、2028年に運用資産(AUM)が2兆8,000億ドル規模に拡大すると分析した。ただし、長期にわたる安定的な信用環境の後でボラティリティが高まった状況下では、一部の借り手が難局に直面する可能性があると見た。それでも長期的には収益の多角化先として投資妙味は続くと展望した。