金融監督院がボイスフィッシング(電話による金融詐欺)・スミッシング(ショートメッセージのリンクで誘導する詐欺)で金銭被害を受けたカード会員が補償を受けられる内容を盛り込んだガイドラインの策定を検討している。現行法ではボイスフィッシング・スミッシングの被害を受けてもカード会員が補償を受けるのは難しい。
5日、金融当局によると、金融監督院は来年中にカード不正使用で被害を受けた会員に対する補償範囲を拡大する案を検討している。金融監督院はボイスフィッシング・スミッシングによる被害を補償する方策も検討中である。
現行の与信専門金融業法(与専法)上、カード会社の会員が補償を受けられる不正使用の範囲は、盗難・紛失、偽造・変造クレジットカードの使用、ハッキング、名義盗用などである。これに該当する理由で被害を受けた場合には、カード会社が一部もしくは全部を補償できる。
しかしボイスフィッシング・スミッシングの場合、会員が悪性アプリケーション(アプリ)やホームページにカード情報を直接入力して金銭被害を受けるため、与専法上の不正使用補償の範囲に入らない。
最近ボイスフィッシング・スミッシング被害が増える中、一部のカード会社は少額または特殊な場合に限り、一部会員に自主的に補償している。金融監督院は一部のカード会社だけがボイスフィッシング・スミッシング被害を補償すると衡平性の議論が生じうるとして、このような対策を用意している。
金融監督院は、偽造・変造クレジットカードの使用とハッキング、名義盗用で発生した不正使用被害の補償基準も明確にする計画である。与信金融協会は2022年に金融当局とカード不正使用被害の補償に関する模範規準を作成した。この規準には、最も一般的な事例である盗難・紛失による不正使用に関する基準だけが明示されている。
金融監督院は、最近金融会社を狙ったサイバー攻撃が相次いでいることから不正使用が増える可能性が大きいとみて、事前の備えに乗り出している。ガイドラインが整備されれば、カード会員がボイスフィッシング・スミッシング被害を受けても一定部分を補償できる根拠が整う見通しだ。
金融監督院は消費者保護を強化するため組織改編も準備中である。金融監督院関係者は「現行の与専法と衝突しない範囲で消費者の補償範囲を広げられる案を計画している」と述べた。