データベース(DB)セキュリティ製品を開発・販売するKOSDAQ上場企業SINSIWAYの株価は、クーパンの個人情報流出事態の後に急騰した。この事件を機にDBセキュリティ関連技術への需要が高まるとの期待から、SINSIWAYが注目を集めたためである.
ところが翌日の2日、SINSIWAYの株価が急落した。既存の筆頭株主であるEXEMが保有持分をKOSDAQ上場企業Parataxis Koreaに譲渡し、会社の筆頭株主が変更されるとのニュースが伝わった影響である。創業者のチョン・ジェフン代表とユ・ギョンソク共同代表も、それぞれ保有持分の半分をParataxis Koreaに譲渡する予定だ.
SINSIWAYの事例のように、KOSDAQ上場後に創業者や既存経営陣が保有持分を売却する事例が増えている。創業者が上場を通じて投資資金を回収(エグジット)する構図が定着した点は肯定的だが、創業者が離れた後の座を経営能力が確かでない勢力が占める場合、不確実性が高まる副作用も少なくないとの指摘が出ている.
とりわけ経営権の取得者が無資本のM&A勢力である場合、本業の拡大より短期の値ざや狙いに集中するケースが多い。このような場合、有望企業が短期間で限界企業に転落し、個人投資家が被害を受ける事例が後を絶たない.
SINSIWAYの新たな筆頭株主となる予定のParataxis Koreaに対する投資家の懸念も大きい。現在管理銘柄に指定されている同社は、赤字が続くなかで複数回にわたり社名と事業目的を変更した。最近はビットコイントレジャリー事業(仮想資産の金庫)を主力に掲げた。SINSIWAYがSPAC合併を通じて上場してから2年である.
上場から数年もたたずに、創業者や既存経営陣が突然、実体が不透明な勢力に経営権を譲る事例は、特にSPAC合併や技術特例上場でKOSDAQに入った企業で頻繁にみられる.
通信部品を生産していたOptiCoreは、SPAC合併を通じた上場から3年で創業者のジン・ジェヒョン代表が突如経営権を売却した。新たな筆頭株主Black Mountain Holdingsは、会社資金の流用などで売買停止となったメディコックスと関係があるヤン・ジソン氏の個人会社である.
医療機器メーカーBistosもSPAC合併でKOSDAQに入ったが、イ・フジョン代表が上場から3年で持分を売却し経営から退いた。上場当時、同代表は2027年までに会社の売上高を1000億ウォン規模に拡大する抱負を明らかにしたが、上場から3年で持分を無資本M&A勢力として知られるCUメディカルシステムに売却した.
業界ではこれをめぐり多様な解釈が出ている。何より上場後は経営の難易度が急速に上がるうえ、承継も容易でない環境で、創業者が様々な手法で接近する買収勢力の誘惑を断ち切るのが難しいということだ.
上場企業の代表を務めたある関係者は「KOSDAQ上場企業の経営権プレミアムは通常50億ウォン、有価証券市場の上場企業は100億ウォン水準で形成される」と述べ、「好条件をちらつかせて売却を勧誘する勢力が少なくないため、創業者としては悩みが深まらざるを得ない」と語った.
さらに過去は限界企業ばかりを狙っていた勢力が、いまや黒字を出す優良技術企業までをもターゲットにし、この種の経営権売却事例が一段と頻発しているとの指摘が出ている.
ある資本市場関係者は「創業者から経営権を引き継ぐ主体が十分な資金力を備えているか、会社を継続運営する力量があるかを事前に見極めよという助言はあるが、現実では事実上不可能だ」と述べ、「経営権売却は大半が奇襲的に行われるため、既存投資家は後れて知る場合が多い」と説明した.