金融監督院が2025年上半期の会計審査・監理における主な指摘事例を公開した。
2日、金融監督院は今年上半期の会計審査・監理の指摘事例10件を公開した。類型別では、▲子会社・関連会社の投資株式3件 ▲在庫資産・有形資産3件 ▲売上・売上原価2件 ▲開発費の過大計上などその他資産・負債2件である。
金融監督院は先に2011年から代表的な審査・監理事例を継続的に公開してきた。2024年からは公開周期を年1回から2回に短縮して運用している。現在までに公開された事例は計192件である.
今回の審査で代表的に摘発された事例は、関連会社投資株式を誤って分類したケースである。その他の専門卸売業を営むA社は、同一グループに属するB社、C社と循環出資構造を成していたにもかかわらず、B社の持分を関連会社とみなさず、当期損益を膨らませていたことが判明した。
具体的に見ると、このグループはA社→B社→C社→A社へとつながる循環出資構造を持っている。各々が21%、29%、23%の持分を保有し、各被投資会社の最大株主となっている。このような構造であればB社はA社の関連会社であるため、A社はB社株式の売却で生じた損失を当期損益に反映すべきである。
しかしA社は「B社と議決権5%を行使しないことで合意した」との理由で有効持分が20%未満だと主張し、B社を関連会社として分類しなかった。代わりにB社株式をその他包括利益-公正価値測定金融資産(FV-OCI)として表示し、B社株式の売却損を当期損益から除外した。これにより当期損益が高く計上された。
金融監督院はこれについて「A社はB社の最大株主として持分比率が20%以上であり、A社の取締役がB社を兼任し、B社のA社向け有償増資の新株割当て決定過程などに積極的に関与するなど、経営陣の相互交流が存在する」と判断した。議決権を制限する合意書についても信頼性が低いとみなした。
もう一つの代表事例は開発費を過大計上したケースである。有線・無線通信機器を製造・販売するKOSDAQ上場会社D社は、新製品の開発活動が資産として認識される要件を満たしていなかったにもかかわらず、これを無形資産(開発費)として処理した。これにより3年連続で営業損失を記録していた業績が黒字転換したかのように見える効果が生じ、同時に管理銘柄指定の危機からも免れた。
金融監督院は「当該技術は従来になかった新しい方式で実装難易度が非常に高いが、会社は技術的実現可能性について客観的な根拠を示せなかった」とし、「研究段階と開発段階を区分できず、新製品開発と関係のない人件費もすべて開発費に含めるなど、開発過程で発生した支出を信頼性をもって測定できなかった」と判断した。
在庫資産を実際より多く計上したケースもある。化粧品販売業者のE社は、新型コロナの影響で輸出が急減し、利益を膨らませる誘因が生じた。この状況で外注加工業者の要請により生産プロセスを変更した。従来は外注業者が原材料を直接購入して生産していたが、変更後はE社が原材料を購入して外注業者に提供する方式へと転換した。
問題は、この変更をERPシステムに直ちに反映できず、原材料の出庫を手作業で管理する中で発生した。 この過程でE社は既に販売された製品に使用された原材料の出庫を一部漏らし、その結果、在庫が実際より多く残っているかのように帳簿を作成した。このように在庫を膨らませたことにより、当該原価は当該年度の費用として反映されず翌年に繰り延べられ、その結果、当期純利益と自己資本が実際より高く計上される歪みが生じた。
金融監督院の関係者は「今後も定期的に審査・監理の主な指摘事例を公開し、投資家の潜在的リスク要因の把握と合理的な判断に資する一方、関係機関を通じて企業と監査人に指摘事例を共有し、類似事例の再発を防止できるよう支援する」と明らかにした。