グーグルの自社人工知能(AI)推論チップであるテンソル処理装置(TPU)が話題だ。グーグルが次世代AIモデル「Gemini 3.0(Gemini 3)」を全面的にTPUだけで学習させ、このモデルがChatGPTを脅かす水準の性能を示したためである。特注TPUチップの成果に対する投資家の期待感も高まっている。
期待感を反映するように、グーグルの親会社アルファベット(Class A)の株価は先月25日、取引時間中に328.83ドルまで上昇し、1年以内の最高値を更新した。テクノロジー株投資に消極的だったウォーレン・バフェットのバークシャー・ハザウェイが今年アルファベット株を6兆ウォン超買い付けたという報が伝わり、市場ではバフェットの判断がまた当たったとの声も出た。
グーグルが自社データセンター(GCP)内部用にのみ使ってきたTPUを、エヌビディアのように外部へ販売する可能性が提起されている。フェイスブック運営社であるメタプラットフォームズ(Meta(メタ))が数十億ドル規模のTPU購入案を協議中と伝わり、これまで「脱エヌビディア」を模索してきたビッグテック企業を中心にTPU需要が大きく拡大するとの分析が出ている。
TPUが既存のGPUを補助する役割を超え、新たな市場を切り開くとの期待から、投資家は恩恵を受ける銘柄探しに動いている。最初に挙がる銘柄はブロードコムだ。TPUはグーグルがAI駆動のために米国の半導体ファブレス(設計)企業であるブロードコムと共同開発したチップである。
グローバル投資銀行(IB)のバンク・オブ・アメリカ(BofA)は前日、ブロードコムの目標株価を従来の400ドルから460ドルへ引き上げた。グーグルがTPUの活用度を高める中で、中核設計パートナーであるブロードコムが直接的な恩恵を受けると判断したためだ。前夜、ブロードコムは386ドル台で取引を終えた。
韓国ではISU PetasysがグーグルTPUの中核バリューチェーンとして挙げられる。ISU PetasysはTPUに搭載されるプリント配線板(PCB)分野で独歩的なシェア(40%)を確保している。業界では、TPUを中心に価格と数量が同時に拡大する局面に入り、急速な業績改善が可能だとみている。
ISU Petasysがいわゆる「TPUサイクル」の代替不可能な選択肢だとの分析も出ている。ヤン・スンス・メリッツ証券研究員は「最近、グーグルがAnthropicとTPU100万個規模の供給契約を公式に締結したのに続き、追加の顧客社獲得を通じて需要は段階的に増加する」と述べ、「ISU Petasysが6月から供給するTPU第7世代向けの新規数量は年初計画比で2倍以上に拡大したと把握している」と語った。
TPU1個に6〜8個の高帯域幅メモリー(HBM)が搭載されるとの報で、サムスン電子とSKハイニックスも新たな恩恵銘柄として浮上した。結局、既存のHBM市場で強力な追加需要が発生すると予想されるなか、両社がグーグルのTPUサプライチェーンで中核的な役割を担うとの分析が出ている。
市場では特にサムスンとSKハイニックスがマイクロンに比べ優れた生産能力を背景に二強体制を築き、新規需要を取り込むとみている。韓国投資証券は今年のグーグルTPU向けHBM供給比率をSKハイニックス56.6%、サムスン電子43.4%と推定した。
チェ・ミンスク・韓国投資証券研究員は「グーグルのHBM採用量の増加はHBMの供給不足を一段と深刻化させる触媒になる」と述べ、「供給不足に伴う平均販売単価(ASP)の上昇と出荷量増加の恩恵を同時に享受できるSKハイニックスとサムスン電子の双方について、ポジティブな見方を維持すべきだ」とした。