この記事は2025年11月3日16時45分ChosunBiz MoneyMoveサイトに表示された。
グローバルな人工知能(AI)向けカスタム半導体(ASIC)専門企業Semifiveが新規株式公開(IPO)を本格化する中、公募申込者に対して買戻請求権を付与する勝負手を打った。『水増し上場』疑惑が持ち上がったFADUの衝撃を克服するためだ。最近半導体市況が回復し興行が期待されるが、財務的投資家(FI)によるオーバーハング(大規模な潜在売却物量)は変数になる見込みだ。
3日、金融監督院の電子開示システムによれば、Semifiveは先月17日に証券申告書を提出し、公募企業価値を7000億~8000億ウォンで提示した。純損失を継続しているため利益未実現特例(テスラ要件)制度を活用し、将来予想実績を基準に企業価値を算定した。上場引受会社はサムスン証券とUBS証券である。
Semifiveは2026年推定純利益(169億ウォン)を現在価値に割り引いた129億ウォンと2027年推定純利益(515億ウォン)を割り引いた326億ウォンの平均値である228億ウォンを基準に企業価値を導出した。ここにマルチプル(PER)45.36倍を掛けた後、14.3~25%の割引率を適用した。
Semifiveは2023年8月に上場したFADU以降最大規模の半導体特例上場企業である。『FADUトラウマ』が広がるのを防ぐため、一般申込者に買戻請求権を付与して公募の盛り上がりを誘導した。一般申込者はSemifiveの株価が公募価格より下落した場合、公募価格の90%の価格で引受会社に再売却できる。権利行使期間は上場日から6か月である。
株価が公募価格を下回れば引受会社も公募株の量を追加で引き受けなければならず、企業価値を無理に高く設定するのは難しかったと見られる。Semifiveが会社説明会で示す予想実績がどれほど現実的かが公募価格を決めるだろう。Semifiveの機関投資家向け需要予測は今月24~28日に行われる。
FADUの場合、予想実績が虚偽に近く、引受会社であるNH投資証券とともに資本市場法違反容疑で昨年末に検察に送致されている。2023年の予想売上を1202億ウォンと報告し約1兆5000億ウォンのバリューを提示した。しかし最初の実績発表で2023年の半期(第2~3四半期)売上が4億ウォンにとどまった事実が明らかになり株価が急落した。現株価は公募価格の83%程度である。
◇ 累積投資金2400億ウォン…そのまま需給負担に
買戻請求権という当て馬にもかかわらず、FIとストックオプション物量によるオーバーハングはSemifiveの株価上昇を制約する要因である。FI保有株式は20,063,950株で上場予定株式の59.51%を占める。2400億ウォンに達する累積投資金のためである。FIの大多数が保有持分の半分について1か月・3か月・6か月・9か月・1年単位で保護預託をかけている。
上場直後の流通可能株数は総計12,458,856株で上場予定株式数の36.95%である。流通可能物量のうちFI持分は上場予定株式数の20.94%で公募株主物量(16.02%)より4.92ポイント多い。保護預託が順次解除されることでオーバーハング懸念はさらに大きくなる。1か月後の流通物量比率は42.87%、3か月後は51.14%、6か月後は60.73%になる。
ストックオプションの残余未行使数量は3,208,600株で公募予定株数である540万株の59.4%である。全上場予定株式数(33,716,419株)の9.5%程度である。ただし役員に付与されたストックオプションには上場後6か月間の義務保有期間が付与される。未行使物量の72.4%にあたる2,323,800株が役員分である。このためストックオプションのオーバーハングは上場直後より6か月後から中長期的な需給負担として作用する見込みである。
米国マサチューセッツ工科大学(MIT)出身のチョ・ミョンヒョン代表が2019年に設立したSemifiveは韓国を代表する半導体デザインハウスとみなされる。自社の設計プラットフォームを活用し半導体設計期間を最大60%以上短縮する技術を確保し、サムスン電子のデザインソリューションパートナー(DSP)にも名を連ねた。斗山、Mirae Asset Venture Investmentなどからの投資を受け注目を集めた。